毛竹が車の部材になる日、広東の一体成形ラインが示す竹産業の転機
ニュースの概要
中国・広東省で、毛竹を自動車や産業装備向けの材料に仕立てる量産が始まった。竹加工企業の奥達が今月、竹を原料とする新素材のスマート工場を稼働させている。目玉は、年産1.8万トン級とされる大型の敷き詰め・熱圧ラインだ。これまでは小さな竹片をつなぎ合わせていたが、今後は大きな板として一度に成形する。同社は人件費を3割、エネルギー消費を2割減らし、生産効率を3割高める計画を掲げる。竹がおよそ3〜5年で成木になる点も、資源としての強みとして挙げられている。竹が工業材料として本格的に使われ始めた一例である。
引用元: 毛竹が自動車サプライチェーンに進出、広東で高性能竹基複合材料の量産開始(21jingji)
分析・見解
小片から大板へ、工程の組み替えが量産の鍵
竹は木材と違い、幹が細く中空で、そのままでは大きな板になりません。そのため従来は、竹を細く割って小片にし、接着してから板に仕上げていました。この方法は手作業が多く、品質のばらつきも出やすいものでした。
今回の一体成形は、敷き詰めと熱圧を一本のラインでつなぎ、大型の板を一度で作ります。人手のかかる工程が減り、人件費3割減という目標にも筋が通ります。竹の話に見えて、本質は工場の設計をやり直した点にあります。
自動車が選ばれる理由は強度と数字の安定
自動車部品に求められるのは、軽さと強さだけではありません。何万個作っても同じ性能が出ることが必要です。竹は繊維が縦に通っており、引っ張りに強い素材です。しかし天然素材なので、ロットごとの差が課題でした。
大型板を同じ条件で熱圧すれば、この差を小さくしやすくなります。内装パネルや荷室の床板など、見えにくい部位から採用が進む可能性があります。欧州の自動車メーカーが麻や木粉の複合材を内装に使ってきた前例もあり、竹はその延長線上に位置づけられます。
3〜5年で育つ資源が、脱炭素の説明材料になる
杉やヒノキが伐採できるまで数十年かかるのに対し、竹は3〜5年で成材します。しかも伐っても地下茎から再び生えてきます。成長の速さは、原料を継続的に確保できるという意味で、メーカーにとって大きな安心材料です。
自動車業界は、車体の製造から廃棄までの二酸化炭素排出を問われる時代に入りました。再生の早い植物由来の素材は、その説明に使いやすい存在です。ただし、竹を集める運搬費や乾燥にかかるエネルギーも計算に入れなければなりません。
日本の放置竹林にとっては、出口づくりの教材になる
日本では放置された竹林が、里山を侵食する問題になっています。竹は大量にあるのに、使い道が少ないのが実情です。チップや燃料に回すだけでは、手間賃を賄えません。
広東の例が示すのは、安く大量に使う用途ではなく、工業製品として値のつく用途を作る発想です。日本の竹は細く曲がりも多いため、毛竹と同じ作り方はそのまま使えません。それでも、用途を先に決め、そこから工程を逆算するやり方は参考になります。
ビジネスへの影響
調達担当者は、竹素材を比較表に加える時期に入った
自動車や家電、家具の部材を扱う企業では、代替素材の選択肢を広げておく価値があります。今すぐ採用しなくても、強度、吸水性、難燃性、においなどの試験データを集めておくと、取引先から環境対応を求められた際に素早く答えられます。
見積もりを取る際は、単価だけでなく、板のサイズ、ロットごとの性能差、供給量の上限を確認してください。工場が稼働した直後は、品質が安定するまで時間がかかるのが普通です。
竹林を持つ事業者は、用途を先に決めて売り先を探す
日本で竹を扱う事業者は、全量を一つの用途に回そうとせず、等級に分けて売り先を変えると採算を取りやすくなります。太くまっすぐな竹は建材や雑貨に、曲がった竹は粉砕して樹脂に混ぜる素材や燃料に回す、といった分け方です。
大切なのは、買い手の仕様書を先に入手することです。必要な寸法や含水率が分かれば、伐採や乾燥の段取りも決まります。海外の量産が進めば、素材価格が下がる可能性もあります。国内勢は、小ロットでも品質を保証できる点を強みにするのが現実的です。