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インド北東部で竹1.5万ヘクタールを植林、炭素クレジットと地域雇用は両立するか

インド北東部で竹1.5万ヘクタールを植林、炭素クレジットと地域雇用は両立するかを象徴するイメージ画像

ニュースの概要

インド北東部で、Asthalaxmi Innovations、Earthtree Enviro、Jeev Anksh Eco Productsの3社が、在来種の竹を5年間で約1万5,000ヘクタール植えるための覚書を結んだ。計画の運用期間は最長40年に及び、竹林づくり、二酸化炭素の吸収、地域住民の参加をひとつの事業にまとめる点が特徴だ。事業者側の見込みでは、吸収量は二酸化炭素換算で約500万トン、発行できる炭素クレジットは最大500万にのぼる。竹は成長が速く、刈り取っても再生するため、森づくりと収入づくりを両立しやすい素材とされる。ただし今回は覚書の段階であり、実際の植林面積や吸収量は今後の実行しだいで変わる。

引用元: インド北東部で1万5,000ヘクタールの竹植林計画、炭素吸収と地域雇用を推進(The Organic Magazine)

分析・見解

500万トンの目標を、1ヘクタールあたりに直して読む

1万5,000ヘクタールで500万トンなら、1ヘクタールあたり約330トンの二酸化炭素を吸う計算になる。最長40年で割ると、年間8トン前後だ。日本の杉の人工林は、若い時期で年間おおむね8〜10トン程度とされる。そう比べると、この目標は特別に高いわけではなく、むしろ慎重な見積もりとも言える。

数字の置き方しだいで中身は大きく変わる点には注意したい。竹は木と違い、伐っても根が残り、毎年新しい稈(かん=竹の幹)が伸びる。収穫しながら炭素を保てるのは強みだ。一方で、刈った竹が建材や家具として長く使われるのか、燃料として燃やされるのかで、大気から取り除かれる量は変わる。

成長の速さは強みだが、クレジット審査では壁にもなる

竹は条件が良ければ、一日に数十センチ伸びる種もある。数年で収穫に入れるため、数十年かかる杉などより投資の回収が早い。ところが炭素クレジットの審査では、追加性(=その事業がなければ生まれなかった効果)が厳しく問われる。すでにある竹林を囲うだけでは、認められにくい。荒れた土地や耕作をやめた土地に新しく植えたと示せるか。土地の権利は誰にあるか。植えた後に伐られず残るか。ここが審査の勘所になる。世界では、植えた木が早期に失われてクレジットが取り消された例も報じられ、買い手は以前より慎重になっている。

日本にも放置竹林の問題があるが、あちらは増えすぎた竹を減らす話だ。インドは足りない緑を増やす話であり、同じ竹でも課題の向きが逆になる。

北東部の立地が、雇用と食料の両面で効いてくる

インド北東部は、竹の資源が豊かな地域として知られる。山がちで、農地に向かない斜面も多い。食料づくりと土地を奪い合いにくい場所に植えられるなら、地域の理解を得やすい。さらに、苗づくり、植え付け、手入れ、加工に住民が関わる設計なら、クレジットの収入が現地に回る。

ただし覚書は約束の入口にすぎない。住民への分配の割合や、クレジットが売れなかったときの収入の手当てが決まっていなければ、期待だけが先に膨らむ。

40年の運用で最も怖いのは、竹の一斉開花と枯死

40年の間には、台風や干ばつも来る。さらに竹には、数十年おきに一斉に花を咲かせて枯れる種がある。同じ種を同じ年に植えると、植林地が一度に失われかねない。種を混ぜる、植える年をずらすといった工夫で、危険は下げられる。

もうひとつの論点は監視の費用だ。衛星画像による監視や第三者の検証には費用がかかり、クレジット1つあたりの収入から差し引かれる。三社がこれをどこまで組み込むか。炭素クレジットの信頼は、そこで決まる。

ビジネスへの影響

竹を扱う企業は、調達の安定と用途の出口を先に固める

今回の計画が進めば、数年後には竹材やその加工品が、インド北東部から継続して出てくる可能性がある。竹素材を扱う企業にとっては、調達先を広げる機会だ。ただし、植林の目的はクレジットの創出であり、収穫された竹がどこへ向かうかは別の問題である。素材として買いたいなら、早い段階で事業者に収穫計画を尋ね、品質、太さ、乾燥の方法、輸送費を確かめたい。覚書の段階では、価格も数量も決まっていない。

国内で竹を使うバイオマスや新素材の事業者は、海外産の竹との競争も想定しておくとよい。国産の強みは、輸送距離の短さと、放置竹林の整理という地域貢献の物語にある。

炭素クレジットを買う側は、何年分の吸収かを見る

クレジットの購入を考える企業は、価格だけで選ばないことだ。確認する点は三つある。第一に、第三者が検証したか。第二に、将来に出る吸収分を、いま先取りして売っていないか。第三に、現地の住民への還元が実際にあるか。安いクレジットが、後で取り消されたり、評判を落としたりする例は少なくない。

最大500万クレジットという規模があっても、発行は数十年かけて少しずつ進む。今すぐ大量に使えるわけではない。自社の削減目標に組み込むなら、数年単位の購入契約と、毎年の発行実績の確認をセットにしておくのが無難だ。

日本企業が今できる小さな一歩

まず、自社の事業と竹の接点を洗い出す。建材、包装、食品、燃料、いずれでも構わない。次に、国産と海外産のどちらが自社に合うか、コストと説明のしやすさで比べる。最後に、三社の続報を追い、正式契約や検証機関の名前が出た時点で、問い合わせを始める。覚書の発表だけで動くには早いが、情報を集めておく価値は十分にある。

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