世界の竹市場は2034年に向けて拡大予測、日本の放置竹林は資源として生かせるのか
ニュースの概要
Fortune Business Insightsが、竹市場の規模・シェア・動向をまとめた成長レポートを公開した。2034年までの市場拡大を見通す内容で、建材、家具、食品、繊維、エネルギーなど幅広い分野で竹の需要が伸びるという構図が語られている。背景には、成長が速く再生しやすい素材として、環境負荷の小さい代替資源を求める動きがある。一方で、レポートが描くのはあくまで世界全体の姿であり、産地や用途ごとの採算は地域によって大きく異なる。日本のように竹林が放置されている国では、原料の豊富さと市場の小ささが同居している。この予測をどう読み替えるかが問われている。
引用元: 竹市場規模、シェア、動向 |成長レポート [2034](Fortune Business Insights)
分析・見解
市場予測が示すのは、竹の用途が一つに偏らないこと
竹市場の調査レポートが2034年までの成長を見込む最大の理由は、用途の広さにある。建材、床材、家具、紙、繊維、食品、燃料まで、竹は一つの素材で多くの産業にまたがる。木材より成長が速く、数年で使える大きさになる点も強みだ。
ただし、こうした市場予測は、中国や東南アジアなど産地側の供給を前提にしている。世界全体の数字の大きさだけで、日本国内の事業機会を測るのは危うい。伸びる市場と、自社が取れる市場は別物である。
日本に足りないのは原料ではなく、使い道と運ぶ仕組み
日本の竹林は約16万ヘクタールともいわれ、管理されないまま広がった放置竹林が各地で問題になっている。原料は余っているのに、市場が育たない。理由は単純で、切り出してから運ぶまでの費用が高いからだ。
竹は中が空洞でかさばり、トラックの積載効率が悪い。収穫の現場も山の斜面が多く、人手に頼る場面が目立つ。海外産の竹製品が安く入ってくる中、国産は原料費ではなく物流費で負けてしまう。
勝負どころは丸ごと売ることより、加工と用途の絞り込み
そこで効いてくるのが、現地で粉砕して体積を減らす工程と、用途を絞った商品設計だ。粉にして樹脂に混ぜる複合材、メンマや竹炭、土壌改良材などは、少量でも付加価値が付きやすい。
逆に、竹を丸ごと使う建材や家具は、品質のばらつきと、乾燥や防虫処理の手間が壁になる。中国の竹集成材のように、規格をそろえた工業製品に仕立てる力は、日本が学べる点が多い。
環境価値を、誰がどう価格に載せるか
もう一つの視点は、竹が持つ環境価値だ。成長が速く二酸化炭素を吸収しやすいとされ、脱プラスチックの流れでも注目される。ただし、竹林を整備する側に対価が戻る仕組みはまだ弱い。
ストローや食器が売れても、山の手入れ費用までは賄えない。環境価値を製品価格に上乗せする、あるいは自治体の補助や排出削減量の売買(=カーボンクレジット)と結びつける設計が要る。市場予測の追い風を受けるのは、原料の確保から販売までを一本の線でつないだ事業者だろう。
ビジネスへの影響
参入前に確かめたい三つの数字
最初に試算すべきなのは、原料の調達コスト、竹林から工場までの運搬距離、加工後の歩留まり(=原料のうち製品になる割合)の三つである。竹林から加工拠点までの距離が長くなるほど、採算は急速に悪化する。まずは半径数十キロ圏内に一次加工ができる場所があるかを確認したい。
世界市場の成長率は、自社の利益を保証しない。数字を見るときは、自社の商圏と用途に引き直して読むことが欠かせない。
小さく始めて、用途を一つに絞る
最初から建材のような大きな市場を狙うのは難しい。食品容器、化粧品の原料、農業資材など、一つの用途で実績を作るほうが現実的だ。取引先が数社でも継続して発注があれば、品質基準が固まり、次の商品にも展開しやすくなる。
放置竹林対策に使える自治体の補助金や森林整備の事業と組み合わせれば、原料の確保費用も抑えられる。伐採を請け負う地元の事業者や森林組合と、早い段階で手を組んでおきたい。
環境への貢献を、買い手に伝わる資料にする
買い手の企業は、脱プラスチックや調達方針を説明する材料を求めている。伐採した面積、置き換えられたプラスチックの量、地域で生まれた雇用などを数字で示せる事業者は、選ばれやすい。
ただし、環境をうたう表現には根拠が必要で、大げさな表示はかえって信頼を損なう。第三者の認証や自治体との協定など、裏付けを先に用意しておくことが、価格交渉でも武器になる。